1. 副業収入とは?種類と概要を理解しよう
近年、日本の会社員の間で副業が広がっています。働き方改革やライフスタイルの多様化により、本業以外に収入を得る「副業」に興味を持つ人が増えています。しかし、副業にはどんな種類があり、どのような特徴や注意点があるのでしょうか。ここでは、副業収入の基本や、代表的な副業についてわかりやすくご紹介します。
副業収入とは
副業収入とは、本業(主たる勤務先からの給与)以外で得られる所得のことです。会社員の場合は、勤務先以外から得た報酬や利益が該当します。副業収入は、その内容によって税金や申告方法も異なるため、しっかり理解しておくことが大切です。
日本の会社員に人気の副業の種類
副業の種類 | 主な内容・特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
フリーランス(ライター・デザイナー等) | 自分のスキルを活かし、個人で仕事を請け負う形態 | 時間・場所の自由度が高い | 収入が不安定になりやすい |
アルバイト・パートタイム | 飲食店やコンビニなどで決まった時間働く形態 | 安定した収入が見込める | シフト調整など時間的拘束あり |
ネット販売(物販) | フリマアプリやネットショップで商品を販売する形態 | 在宅でできる、始めやすい | 売上管理・在庫管理が必要 |
投資(株式・FX・仮想通貨など) | 金融商品への投資で利益を得る形態 | 資産運用ができる可能性あり | 元本割れなどリスクも高い |
クラウドソーシング | インターネット上で仕事を受注する形態(アンケート回答、データ入力など) | 初心者でも始めやすい案件多数 | 単価が低い場合も多い |
副業に関する法律と会社規程の基礎知識
法律上のポイント(労働基準法等)
日本では、労働基準法上「副業禁止」の明確な規定はありません。しかし、労働時間の合算や健康管理面などに留意する必要があります。また、公務員は原則として副業は禁止されています。
会社ごとの副業規程について
多くの企業では就業規則で副業について何らかの規定があります。例えば、「事前申請が必要」「競合他社での勤務禁止」などです。違反した場合は懲戒処分となる可能性もあるため、必ず自社の規則を確認しましょう。
よくある会社規程例一覧表
規程内容例 | 詳細説明 |
---|---|
事前申請制 | 副業開始前に会社へ届け出・承認が必要なケース。 |
許可制限型 | 競合他社や機密保持義務に抵触しない場合のみ許可。 |
全面禁止型 | 一切の副業を禁止しているケース(例:金融機関など)。 |
副業を始める際には、自分に合った形態を選び、法律と会社規則をしっかりチェックしましょう。本記事では今後、副業収入に関する申告方法についても詳しく解説していきます。
2. 確定申告が必要となるケース
副業を始めた会社員の方にとって、「確定申告が本当に必要なのか?」という疑問はよくあるものです。実は、副業収入の金額や種類によって、確定申告の義務があるかどうかが決まります。ここでは、会社員が副業をしている場合に、どんなケースで確定申告が必要になるのかをわかりやすく解説します。
副業収入と申告義務の有無
まずは、次の表をご覧ください。
副業収入の種類 | 年間所得額 | 確定申告の必要性 |
---|---|---|
給与所得(アルバイト等) | 20万円以下 | 不要※ |
給与所得(アルバイト等) | 20万円超 | 必要 |
事業所得・雑所得(フリーランス・ネット収入等) | 20万円以下 | 不要※ |
事業所得・雑所得(フリーランス・ネット収入等) | 20万円超 | 必要 |
不動産所得・配当所得 等その他の所得 | – | 内容により異なるので要確認 |
※住民税の申告は別途必要な場合があります。
ポイント1:給与所得以外も要注意!
「副業=アルバイト」と思いがちですが、例えばYouTubeやブログなどの広告収入、ハンドメイド販売などは「雑所得」や「事業所得」に該当します。これらも年間20万円を超えると確定申告が必要です。
ポイント2:20万円以下でも住民税申告は必要な場合あり
国税庁のルールでは「副業収入が年間20万円以下なら確定申告不要」となっていますが、住民税については自治体によって別途申告が求められることがあります。お住まいの市区町村ホームページで必ずご確認ください。
税務署から見たチェックポイントとは?
- 複数の収入源がある場合:すべて合算して20万円を超えていないかチェックされます。
- SNSやネットショップ利用:近年ネット取引も調査対象になりやすいので注意しましょう。
- 会社に知られたくない場合:住民税の納付方法を普通徴収に変更することで対応できます。
まとめ:自分の場合はどうか必ず確認!
副業で得た収入がどんな種類か、年間でいくらになるかをしっかり把握し、自分に確定申告義務があるかどうかを早めに調べておくことが大切です。不明点があれば、最寄りの税務署や市区町村役場で相談することもおすすめです。
3. 副業収入の具体的な申告方法
副業収入の申告に必要な書類
副業による所得を正しく申告するためには、いくつかの書類が必要です。以下の表は、会社員が副業収入を申告する際によく使う主な書類一覧です。
書類名 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
源泉徴収票 | 本業(会社)からもらう所得証明書 | 年末に会社から発行されます |
収支内訳書または青色申告決算書 | 副業の収入や経費を記載する帳簿 | 白色申告なら「収支内訳書」、青色申告なら「青色申告決算書」 |
各種控除証明書 | 生命保険料控除・医療費控除などに使う証明書 | 該当する場合のみ必要 |
マイナンバーカードまたは通知カードと本人確認書類 | e-Taxや窓口提出で本人確認に使用 |
e-Tax(電子申告)の流れ
近年では、国税庁の「e-Tax」を利用して自宅から簡単に確定申告ができます。主な流れは以下の通りです。
- 必要書類を準備する:上記の各種書類を手元に揃えます。
- マイナポータル連携またはICカードリーダー準備:マイナンバーカードを用意し、パソコンやスマートフォンで認証できるよう設定します。
- e-Taxソフトで入力:国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、画面に沿って副業の収入や経費、本業の源泉徴収票情報などを入力します。
- 送信前のチェック:入力内容をよく確認し、控除漏れがないか見直しましょう。
- 電子送信:すべて入力したら、そのままネット経由で税務署へ送信します。受付結果も画面で確認できます。
- 控えデータ保存:後日の問い合わせや修正に備えて、データやPDFをダウンロードして保管しましょう。
e-Tax利用時のポイント
- 令和5年度からスマートフォンだけでも全て完結可能になりました。
- 24時間いつでも提出可能で、郵送不要です。
- 還付金も紙より早く振り込まれる傾向があります。
紙による申告(郵送・窓口提出)の手順
「パソコン操作が苦手」「e-Tax用機器がない」という方は、従来通り紙で申告できます。手順は下記の通りです。
- 必要書類を準備:上記表の書類と、印鑑(認印)を用意します。
- 確定申告書AまたはBを入手:税務署、郵便局、市役所などで配布しています。または国税庁HPから印刷可能です。
- 必要事項を記入:副業分も含めて全て丁寧に転記し、本業と合わせた所得合計額や控除額を計算します。
- 添付資料貼付け・封入:源泉徴収票(原本)や控除証明書など指示通りに貼付けます。
- 提出方法選択:お住まい地域の税務署へ直接持参、または郵送します。受付印が欲しい場合は控えも同封しましょう。
- 還付の場合の振込先記入:還付金がある場合は銀行口座情報を書き忘れないよう注意してください。
紙申告時のポイント
- 提出期限は毎年3月15日まで(例外あり)。遅れるとペナルティ発生の可能性があります。
- 不明点があれば最寄り税務署で相談可能です(混雑時期は要注意)。
- 提出後は必ず「受領印付き控え」を保管してください。
4. 会社にバレずに申告するコツ
住民税の納付方法がポイント
副業収入がある場合、多くの会社員が気になるのは「会社に副業がバレないか」という点です。実は、住民税の納付方法を工夫することで、会社に副業収入が知られにくくなります。
「普通徴収」と「特別徴収」の違いを理解しよう
徴収方法 | 特徴 | 会社への通知有無 |
---|---|---|
特別徴収 | 会社の給与から天引きされる。通常はこちらが適用される。 | あり(会社に副業分も合算して通知される) |
普通徴収 | 自分で自治体に直接納付する。副業分のみ選択可能。 | なし(会社には通知されない) |
確定申告書で「普通徴収」を選ぶ方法
副業分の住民税だけを自分で支払う「普通徴収」にすれば、会社には本業分の住民税しか通知されません。確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」欄にある「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れることが重要です。
普通徴収を選ぶ手順
- 確定申告書第二表の該当箇所を確認。
- 「自分で納付(普通徴収)」の欄にチェックまたは○印を記入。
- 提出前に再度チェックポイントとして確認する。
その他の注意点
- 住所変更や転職時:市区町村によっては手続き内容が異なるため、事前に確認しましょう。
- 副業所得が20万円以下:所得税の申告義務はありませんが、住民税は申告が必要なので注意してください。
- 副業内容によって:一部の自治体では普通徴収が認められない場合もあります。疑問点は役所へ問い合わせましょう。
このように、住民税の納付方法や申告時の細かな手続きを知っておくことで、副業を安心して続けることができます。
5. 副業申告時のよくある疑問Q&A
Q1. 副業収入はいくらから確定申告が必要ですか?
副業で得た所得(経費を差し引いた後の金額)が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。会社からの給与以外に副業収入がある方はご注意ください。
Q2. 会社に副業がバレてしまうことはありますか?
住民税の納付方法によっては、会社に副業が知られてしまうことがあります。副業分の住民税を「自分で納付(普通徴収)」に設定すれば、会社に通知されるリスクを減らすことができます。
住民税の納付方法 | 会社にバレる可能性 |
---|---|
特別徴収(給料天引き) | 高い |
普通徴収(自分で納付) | 低い |
Q3. 経費として計上できるものは何ですか?
副業に直接関係する支出であれば、経費として認められます。例えば、パソコンや通信費、書籍代などが挙げられます。ただし、プライベートとの共用の場合は按分計算が必要です。
主な経費例
- パソコン・周辺機器
- インターネット通信費
- 資料・書籍代
- 交通費(取材や打ち合わせ等)
- 消耗品費
Q4. 副業の確定申告を忘れてしまった場合はどうなる?
申告漏れが発覚した場合、延滞税や加算税などのペナルティが発生します。気づいた時点で早めに修正申告を行いましょう。
Q5. 副業トラブル事例とその防止策は?
トラブル事例 | 防止策 |
---|---|
会社規則違反による懲戒処分 | 就業規則で副業可否を事前確認する |
住民税で副業バレ発生 | 住民税の納付方法を「普通徴収」に選択する |
経費の過大計上による税務調査 | 領収書・証拠書類をきちんと保管する |
所得未申告による追徴課税 | 毎年必ず確定申告を行うよう習慣づける |
サラリーマンでも安心して副業に取り組むためには、正しい知識と対策が大切です。悩みや疑問点があれば、早めに専門家へ相談することもおすすめします。